[3] The Lady in the Lake
「The Lady in the Lake」は、L.A. Noir の代表作家、Raymond Chandler の作品。
彼の作品はどれも読んでいるうちに、いつの間にかロサンゼルス特有の、サンタアナの熱風が体を覆っているような錯覚を受ける。
ストーリーのテンポは、現代の推理作家John Grisham のようなスピードとは正反対の、スローな流れ。彼のスタイルに慣れないうちは、この調子でストーリーが展開するのだろうかと思ったが、彼の世界に入り込んでみると、ロサンゼルスの街の明かり、匂い、空気の感触まで感じられる。
街をドライブしていて、ふと見かけたバーの外見。さびれたアパートやホテル。古いスタイルを残したコテージ(小さな家)。彼の作品は30-50年代のロサンゼルスだが、今でも彼の描いたロサンゼルスは街の片隅に生き続けている。
各章、情景描写から始まり、各章の頭だけを読むだけでも、彼の描くロサンゼルスの景色が伝わってくる。
1: The Treloar Building was, and is, on Olive Street, near Sixth, on the west side. …
2: The private office was everything a private office should be. …
3: Altair Street lay on the edge of the V forming the inner end of a deep canyon. …
4: It was a wide shallow house with rose stucco walls faded out to a pleasant pastel shade and trimmed with dull green at the window frames. …
5: San Bernardino baked and shimmered in the afternoon heat. …
英国の言語洗礼を受けた人間ならではの、的確でクリア、洗練された単語選択と無駄のないスタイル。
文法的にも内容的にも難しいことはないと思うので、ロサンゼルスの風を感じながら、英語を勉強したい人にもお勧めできる。
いつの間にか英語が苦手だったことすら忘れ、彼の世界に入り込んでいる自分に気付くだろう。
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