[36] 国家の命運


薮中三十二氏については、カンブリア宮殿という番組を通して知った。
2010年に外務省事務次官を退任するまで、40年以上、日本の外交の舞台で活躍された方が、現在、日本の外交に関し、又、日本の将来に対し、どう考えられているのか、是非知っておきたいと思い、2010年に発行された、この「国家の命運」を手にした。

外交に限らず、当然ビジネス上に於いても、頭で理解するだけでなく、体験し、筋肉を付けておかなければならない対外交渉について、的を得たアドバイスが載せられている。

島国、日本に生まれ育った人間が、対外交流を持つ際、第一関門となるのは当然の事ながら、世界共通語として、使用者が年々膨らみ続けている英語という言語のマスターだが、その次の関門、異国人、異人種の人々との対人能力のマスターは、英語をマスターする以上に重要と言える。対外交渉に於いては、対人能力、交渉能力を持ち合わせなければ、いくら流暢に英語が操られても、相手の意のままに自分が踊らされてしまう危険性を持つ。この部分のトレーニングは、非常に大切であり、この本にも、こうした交渉のポイントが至る所に記載されている。

実際、何らかの形で対外交流を持つ人のみならず、日本の外交の裏側を垣間見、日本という国について考えてみるという点からも参考になる。

現在、世界の勢力図が新たに描き出されている中、もう昔となった20世紀の世界勢力図を元に、将来の青写真を描き、戦略を練っていては、とんでもない事態を自ら招いてしまう。
日本人が、これまで苦手として来た、先手を打つ外交、対外交渉を、今後は積極的に行って行かなければならない。
私は日本人には出来ると思うし、そのためにも、こうした本を多くの人たちにお勧めしたい。

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