[28] The Diary of A Provincial Lady


ここに紹介する、E. M. Delafield 著「The Diary of A Provincial Lady (ISBN: 1844085228)」と、Barbara Pym 著「Excellent Women (ISBN: 1844085260)」は、 出版社 Virago Press から近代古典シリーズとして、 英国の人気テキスタイルデザイナーのデザインを施した、特別装本で出版されたものだ。
女性なら、思わず引き寄せられてしまう、魅力的なデザインだが、「The Diary of A Provincial Lady」のデザインは、日本でも熱烈ファンの多い、Cath Kidstonのものだ。

作家 Barbara Pymの作品はどれも、教養のある、未婚の中年女性が、田舎の英国教会の活動を通して、慎ましく、かつ気高く生きる様子が描かれている。
独特な世界と主人公たちだけに、客観的に楽しめる。
時々、英国のテレビドラマなどを見ていると、英国教会が宗教云々というよりも、コミュニティセンターとしての役割を持っていることを伺い知ることができるが、Barbara Pymの作品を読むと、その世界を内側から感じることができる。
英国社会に関心のある人は、一度、Barbara Pymの作品を読んでおくと、その後の理解度に深みが増すと思う。

「The Diary of A Provincial Lady」は、日記形式で描かれた小説だが、都会からそれほど遠く離れていない田舎で暮らす女性が、母親として、そして妻として、淡々と日常生活を送る中で、時に一人の知的で現代的な女性としての本音が飛び出すところが面白い。彼女の夫は、優しく物静かで、日記上には殆ど存在感がないのも現実性を持っている。
1930年に初版された、この作品。意外にモダンで、今読んでも、それほど感覚的に違和感はない。逆に言えば、専業主婦の生活というのは、時代が変わっても、それほど感覚的に違いがないと言うことだろうか。

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