[30] Jonathan Strange & Mr. Norrell


英国では、昔からMagic(魔術)の存在が歴史や生活から切り離せない。
それ故、英国ではMagic、Merlinなどと言う言葉が頻繁に使われ、英国の政治家も、時々これらの言葉を使うことがある。米国にいる者としては、これが異様に感じられてしまうくらい、米国では、こうした言葉は全く一般的ではない。もし、米国の政治家がこうした言葉を使ったら、皆、ひっくり返ってしまうくらい、びっくりするだろう。

世界中で大ヒットしたHarry Potterシリーズは、魔術の登場する小説の流行を生んだが、このSusanna Clarke著「Jonathan Strange & Mr. Norrell」は、その中でも高く評価された作品の一つだ。

19世紀初頭の英国。既に珍しい存在となっていた、古い魔術の実技の本を片っ端から収集する Norrellという魔術師と、ひょんなことから魔術師となった Strangeが繰り広げる世界。英国の歴史上、実際に起きた出来事や実在の人物達が話の中に取り込まれ、現実と幻想、そして英国にて昔から語られている民話が、細かく織り込まれている。著者は、書き上げるまでに10年かかったと言う。

800頁近い小説。普通の本よりも小さなフォントサイズに加え、それ以上に小さな文字で注釈が至る所に書かれている。しかし、この一見、無機質に見える注釈が、実は小説に深みを与え、想像と現実の垣根をとても怪しい、あやふやな状態へと導いている。

又、このオーディオブックも優れているので、読み終えた後に聞いてみると小説を更に楽しめるだろう。
書籍で購入するならハードカバーが読みやすい。電子図書でも売られているので便利だ。
大人のための魔術小説。是非、一度挑戦して読んでみられることを、お勧めする。

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