[10] Brain in the news


「Brain in the news」はThe Dana Foundation (www.dana.org) という、脳に関する調査研究を援助し、一般の人々にそれら研究結果等を伝え、認識を高める活動を行っている財団が、定期発行している刊行紙。
英語圏で発行された新聞や雑誌、医学誌等の刊行物の中から、脳に関する記事を拾い出し、集め、財団のアドバイザー(Guy McKhann, M.D.、Zanvyl Krieger Mind/Brain Institute とJohns Hopkins University の教授)のエッセイと共に掲載している。

脳科学の分野は、イメージング技術が導入されて以来、これまでの通説を覆す発見の連続で、今最も注目を浴びている分野だが、「これまでの○○○という通説は誤りで・・・」という出だしで、新しく発見された研究結果が説明されることは、全く珍しくない。

イメージング技術が導入されるまで、長い間、眠っていた分野であるだけに、次々に発表される新しい研究結果は、どれもこれも目を見張るものばかりだが、特に自閉症、アルツハイマー病、戦争による後遺症(精神、肉体、脳の一部を失う被害から受けたもの)に関する研究は、日々進歩し続け、一年前の研究結果すら古く感じてしまうほどだ。

言語習得、脳の一部が停止した後の言語の再習得、バイリンガルに関する研究結果は、自分にとっては特に関心がある。
一旦、言語回路を作ってしまえば、大したことではない作業であっても、言語回路が出来上がるまでは苦痛に感じる脳の働きや、言語回路を作る作業、作らない作業の違い、二ヶ国語の言語回路を持つ人間とモノリンガルの、言語以外の分野での格差、判断能力等についての調査研究は、自らの人生を照らし合わせてみることが出来、とても面白い。

無料で、こうした優れた情報を一般市民に広めようとする意識の高さは、米国における知識層の厚さを物語っている。
専門家と一般の人々を繋ぐ情報の普及は、社会全体のレベルを高める効果がある。

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