[9] The Curious Incident of the Dog in the Night-Time
前々から気になっていた本、Mark Haddon著「The Curious Incident of the Dog in the Night-Time (ISBN-13: 978-1400032716)」を、先日ようやくオーディオ・ブックで聴いてみた。
自閉症の15歳の少年が、隣の家の犬が殺されているのを発見したシーンから始まる。犯人を見つけ出そうと、自らの限界に挑戦しながら、少年は徐々に自分を取り巻く世界を知っていく。
自閉症の少年の世界観、自閉症の子供を持つ親の心理、そして、理解し難い大人の世界を垣間見る少年が、自らを少しずつコントロールしながら成長していく姿が、鮮明に描かれている。
この本では、章は数値順には表記されておらず、最初の章は2、次は3、その次は5、7、11・・・というように、素数だけで表記されているところからも、少年の世界が伝わってくる。
ストーリーと並行して、節目、節目に少年の心理が解説され、自閉症と言う、外から理解し難い世界に、読者は少しずつ近づきながら、考えさせられる。
このオーディオ・ブックでは、ナレーターが英国の地元の強いアクセントで読んでいるため、雰囲気と味が出て、2倍楽しめる。
オーディオ・ブックというのは、ナレーター次第で、作品の生死が決まるが、この本の場合は、ナレーターと本の内容が、とても相性良く出来上がっている。
大人と子供の狭間に生きる少年期を、不便な症状を抱えながらも、自らを持って生きていく少年が爽やかに描かれた、独特の視点を持った作品。
Comments
Post a Comment