[13] Fine Books & Collections


雑誌「Fine Books & Collections」 は、題名どおり、稀な本と収集に関する情報誌。
2003年に創刊された「OP: Book Culture, Collectors & Commerce 」という雑誌から、2004年に名を変更し、今日に至る。
発行頻度は創刊以来、隔月発行だったが、2009年の一年間は印刷による発行を一時停止し、その間、ウェブサイト上で情報提供を行っていた。
その後、2010年に年4回の季刊誌として、印刷による雑誌発行を再開。

写真をふんだんに取り入れ、本に関する情報を様々な角度から紹介しているが、どの号も充実した内容で、西洋の本の世界の奥深さに圧倒させられる。
本に関わることなら、ありとあらえる角度から何でも紹介されている中で、様々な形で本と関わりあう人々の紹介は、本という物体に人間性を与え、特に魅力を感じる。

次世代の本の収集家を育てる目的で、大学生による本の収集を競うFine Books & Collections Collegiate Book-Collecting Championship も2005年以来、開催されている。これが面白い。
このチャンピオンシップで選ばれた、若い収集家たちの話を聞くと、価格や希少性、あるいは単なる収集数ではなく、目的を持った収集というものの価値に気づかせてくれる。
自由に遣えるお金を持っていれば、収集できる類の収集方法というのは、一見、大層なものに見えるが、誰でも条件さえ揃えば、簡単にできるという点で、非常に魅力を欠く。
反対に、金銭価値や希少性にこだわらない収集というのは、その収集家の創造性に大いに関係するため、誰でも簡単にできないだけでなく、その誰でも簡単にできないところに、その人間の個性が表現される。

創刊号から現在に至るまで、既に発行された号の購入は、サイト上 (finebooksmagazine.com) で簡単にできる。
雑誌の網羅範囲は広く、どの号を手に取っても、自分の知らない情報を得る事は間違いない。
本の収集家はもちろんのこと、本好きなら、いつでも手にとって楽しめる優れた雑誌だ。

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