[5] Miss Pettigrew Lives For A Day


ある日、家からそれほど遠くない、小さな本屋のウェブサイトを見ていたら、その本屋の経営者が英国から持って帰ってきたばかりの本を販売すると書いてあった。
これは見逃してはいけないと、早速、その本屋に出かけてみると、その本がない。たまたま店内にいた、その経営者の女性に「英国から持って帰って来られた本が見たいのですが」と尋ねると、「Oh! ちょっと待っててね。今、家から持ってくるから」と店を飛び出し、待つこと数分。息を切らせながら彼女が10冊ほど持ってきたのが、このWinifred Watson 著「Miss Pettigrew Lives For A Day (ISBN-13: 978-1906462024)」だった。
「面白かったですか?」と尋ねると、「あ~もう、素敵よぉ・・・」と夢見る女性の顔に。

Anglophile(アングロファイル:英国に関するものを好む人)で知られる彼女の経営する、とっても小さな本屋は、彼女のセンスで選びぬかれた本だけに止まらず、英国から彼女が持ち帰ったアンティークの小物や、古書で満ち溢れる。いつも店内に入ると、あ~ぶつかっちゃいけない・・・と、ヒヤヒヤしながら体を動かさすことになるのだが、数人入ったら満杯になる、この小さな本屋はいつも人で賑わっている。
場所柄、映画制作関係者達が出入りをするカフェの隣にある本屋ということもあって、彼女が選ぶ本が映画化されることも珍しくない。
このMiss Pettigrew Lives For A Day という、米国では当時無名だった本も、それほど時間が経たないうちに映画化された。

この本は、Persephone Books という出版・販売会社のヒット作の一つ。この出版社は、20世紀初頭に出版され、その後継続出版されていなかった、主に女性作家の作品を再出版させている。近年、英国の出版界では、中古でも見つからないような作品の中から、優れたものを集めて再出版する動きが出ている。

主人公Miss Pettigrew という冴えない中年女性が、見る見るうちに輝き、幸せを掴むストーリーは、毎日、慢性化した生活を送る女性たちに、明日を夢見て生きる希望を与える、大人のシンデレラ・ストーリー。
初版1938年。当時流行していたチャーミングな挿絵も、この本の魅力の一つ。

当時のお洒落な世界も垣間見れる、この作品。気分がダラケ気味になった時に、甘い栄養剤として、どうぞ。

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