[21] Tinker, Tailor, Soldier, Spy


作家John Le Carréと言えば、George Smiley主役の3部作「Tinker, Tailor, Soldier, Spy」、「The Honourable Schoolboy」、「Smiley's People」が有名だ。
John Le Carré自身、作家に転身する前、英国のMI5とMI6に所属し、その時の体験などを基に多くの作品を生み出している。
彼の作品は、幾作も映画化されており、上記3部作の中では「Tinker, Tailor, Soldier, Spy」と「Smiley's People」が一部作品内のロケーションを変更した形で映画化され、未だに高い人気を保っている。

スパイとして働く、複雑な人間たちを、他作品にありがちな、上っ面から捉えて単純化することなく、彼らの精神と思考を複雑なまま表現することを通し、人間を読む上での落とし穴と、人間の作ったシステムに完璧なものなどないという認識を持ちながらも、任務を行い続けることの矛盾さを描き続けている。

彼の作品は、人間描写が鋭く、登場する人間とロケーションは多岐にわたっている。
読む際の注意点と言えば、スパイの世界で使われる暗号が頻繁に出てくることだろう。
この暗号自体、英国英語の文化を反映していて、興味深い。

少し高度な読み物かも知れないが、一度映画を一通り見て、粗筋を掴んでから読み始めれば、情景が描き易くなるだろう。
そして、本書を読む気のない人も、映画「Tinker, Tailor, Soldier, Spy」だけは、是非一度は見て欲しい作品だ。強くお勧めする。

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